民主も自民も注視する「小沢辞任」のタイミング 四月五日午前十一時半ごろに北朝鮮北東部の舞水端里から発射された弾道ミサイルは、十一時三十七分頃、日本上空にさしかかった。その一分前の十一時三十六分、麻生太郎首相は早くも首相官邸で記者団の前に立っていた。「まず安全の確認、情報収集の強化、そして情報の迅速な提供を指示したところです」 厳しい表情で、そう話した麻生首相だったが、つづいて記者団から発せられた「日本政府としてはどういった対応を……」という質問を無視し、まるでカメラから逃げるかのように、きびすを返して去って行った。そのニュースをテレビで見た自民党議員の一部に失望感が広がった。 今回の政府のミサイル対応には、国民の生命を守るという国家としての基本的な課題に取り組む側面とは別に、麻生内閣に対する国民の信頼を回復するという与党の思惑が込められていた。ミサイル飛来に迅速に対応すると同時に北朝鮮に対して毅然とした態度を示すことによって、信頼するに足る政権であることを国民に印象づけること。これこそが、与党が麻生首相に期待していたことだ。与党の視線の先には当然、内閣支持率、自民党支持率を回復し、衆院選に向けて有利な政治状況をつくるという狙いがあった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。