トルコとイスラエルは不承不承に関係を修復

執筆者:池内恵2022年8月27日

   8月17日にトルコのエルドアン大統領とイスラエルのラピド首相が電話会談を行い、4年前の2018年に相互に退去させて以来不在となっていた大使・総領事を双方が任命することにより、両国が十全な外交関係を回復することを確認した。8月19日にはトルコ・エルドアン大統領とイスラエル・ヘルツォーク大統領が電話会談で、両国の外交関係の発展を約した。

   これで、年初から進められてきたトルコとイスラエルの関係改善の「手続き」が一通り進んだと言えるだろう。

イスラエル主導の「トルコ包囲網」を解く

   大国化し、中東地域での覇権主義・介入的な態度も目立つようになったトルコは、それに対する近隣諸国の結束した対抗措置により行動を制約されてもいた。陰に日向に「トルコ包囲網」の音頭をとってきたのがイスラエルである。トルコにとって、エジプト、UAE、サウジアラビアといった近隣諸国との関係改善の「詰め」は、イスラエルとの外交関係の改善だった。

   イスラエルとしても、トルコとしても、地域のアラブ諸国やイランの動向、そして米国・ロシアなどグローバルな政治情勢との関係上、矛を収めねばならない、「不承不承」の感が濃厚な和解である。

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