2017年に在位50年を迎えたハサナル・ボルキア国王(C)EPA=時事

 

 東南アジアのボルネオ島(インドネシア名:カリマンタン島)北西部にあるブルネイ(正式名称ブルネイ・ダルサラーム国)は、多くの日本人が耳にしたことはあっても、馴染みの薄い国だろう。マレーシアのサラワク州に囲まれたブルネイは、総面積は約5770平方キロメートルと東京都の約2.6倍、総人口は約43万人というイスラムの小国である。名目上は立憲君主制だが、実際は世界的富豪としても有名な現国王(スルタン)のハジ・ハサナル・ボルキア・ムイザディン・ワッダラーと一族による絶対君主制が敷かれている。

 

 2021年の名目GDP(国内総生産)140億米ドル、1人当たりでは約3万1722米ドルという富裕国でもある。これを支えるのが、国内で採れる石油や天然ガスなどの資源だ。同国GDP構成比の約6割が第2次産業、輸出品目の約8割が鉱物性燃料となっている。

 その最大の輸出先が約26%を占める日本で、日本とブルネイは長年、信頼関係を築いてきた。しかし近年は、「一帯一路」を掲げる中国が積極的に接近し、経済を中心に急速に関係を深めている。

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