料理本ふたたび
2022年10月9日
このところ『ごはんにかけておいしい ひとさライス』(小堀紀代美著・西東社刊)という料理本にハマっている。
ご飯にかける料理がたくさん掲載されていて、中を開くと、いや、表紙からして食欲を存分にそそられる。白いお皿にご飯がこんもり盛られ、その上にかかっているのは肉や野菜や魚を使ったさまざまなおかずのオンパレードだ。見るだにおいしそうな写真だらけである。
すなわちワンディッシュメニューというのでしょうか。たとえば「鶏肉とひよこ豆のトマト煮込み」とか「サーモンのスパイシーポケ丼」とか「豚肉とキャベツ、もやしのナンプラーバター炒め」とか「アボカドしらすサラダ」とか。よくよく考えれば、それらのレシピが単独で料理本に載っていたら、「ふむふむ。今度、機会があったら作ってみるか」ぐらいの興味を示す程度で終わるかもしれないのだけれど、同じ料理がご飯の上にのっているだけで、「すぐ作りたい! 早く食べたい!」という衝動にかられる。
なぜだ?
これぞワンディッシュの魔法ではあるまいか。とりあえず、このワンディッシュで一食が成立すると思った途端、ホッとする。肩から力が抜ける。あれこれ献立を考えなくてすむからかもしれない。昨日の晩の残り物を温めて、サラダを作って、酒のつまみになるものはないか、メインディッシュはどうしよう、汁物はなにがいいかなどと品数を指折り数えなくていい。冷蔵庫の冷気を浴びながら、どうすれば残り物の惣菜と、しなびかけた野菜と、カチンカチンに冷凍された肉のかたまりをなんとか組み合わせ、昨日とは違うメニューに仕立てあげることができるかで悩まずにすむ。
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