1回目の投票結果に沸くルーラ支持者たち(C)AFP=時事

 

 10月2日にブラジル大統領選が行われ、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ元大統領と現職のジャイール・ボルソナーロ大統領が決選投票に駒を進めた。ブラジルの大統領選挙は、第1回目の投票において候補者が無効票や棄権などをのぞく有効投票数の過半数以上を獲得した場合はそのまま勝利が確定し、どの候補者も有効投票数の過半数を獲得できなかった場合は上位2名による決選投票で勝敗が決まる。今回の選挙は、ルーラが48.43%、ボルソナーロが43.20%を獲得し、30日に再び投票が実施されることになった。

 2000年代、ブラジルを新興国の雄に押し上げたルーラの政治手腕には国内外で大きな期待が集まる。依然としてルーラの優位は変わらないものの、大方の予想よりもボルソナーロに対する票数が集まったことは事実だ。この結果からは、必ずしもルーラの完全な勝利と今後のブラジル政治の楽観的な見通しを提示することはできない。

 筆者はこの1カ月、約2年半ぶりにブラジル各地を転々とし、保守層が多い地方の州とリベラル層が多い州の双方に滞在して多くのブラジル人から話を聞くことができた。今回の大統領選がブラジル社会にどのような分断をもたらすのか。筆者の考えを書いてみたい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。