原油流出事故によりサンタバーバラ川に見られた油膜(2021年11月25日)(C)REUTERS

 

[ロンドン発(ロイター)]原油価格高騰のおかげで他の産油国が物価上昇のインパクトを抑えていられるのとは対照的に、産油国ナイジェリアは儲けのチャンスを逃し、貧困に直面する国民が数百万の単位で増加する勢いだ。

 ナイジェリア国営石油公社(NNPC)のデータによると、原油価格が去年に比べて42%も上昇し、1バレル94ドルにまで上がったにもかかわらず。今年1~8月の同社の国庫への寄与はほぼゼロだった。

横行するガソリンの密輸出

 ナイジェリアの問題の根幹は、同国がアフリカ最大の石油・ガス産出国であるにもかかわらず、ガソリン供給に関してはほぼ全面的に輸入に頼らざるを得ないことにある。ナイジェリアはガソリンの小売価格を抑えるために補助金を出している。そのため、たとえば隣国ベナンで給油するよりも、ナイジェリアで給油する方が安いという価格差が生まれてしまった。これにより、市場価格の安いナイジェリアのガソリンの密輸出が助長され、結果として国内需要を上回るガソリンを買わざるを得なくなり、コストの高いガソリンの輸入量が増えた。こうして高騰する原油の輸出で本来なら増えるべきナイジェリアの収入は帳消しになっているのだ。

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