
金融庁のモニタリングに証券会社や銀行からは悲鳴も上がるが…(写真はイメージです)
仕組み債を巡る報道が過熱する一方である。
「●●銀行が販売停止」「▲▲証券が販売停止を検討中」等々、いまや何が問題なのかを掘り下げないまま、販売会社の固有名詞を並べている。あたかも「仕組み債祭り」である。
「オプション搭載型のハイリスク証券」と呼ぶべき仕組み債の問題には、二つの側面がある。ひとつは販売面での問題だ。ここにもメディアが書き立てる内容以上に罪深い要素があるのだが、本稿では、ほとんど報じられない組成プロセスについて掘り下げておきたい。
組成が済めば「後は野となれ山となれ」
そこで一つ、2年ほど前の話を紹介する。それは大手証券の商品部門担当役員の発した言葉である。商品部門は営業部門に販売する商品を送り込む、いわば兵站線を担っている。この人物は当時、ビジネスの好調さをこう説明した。
「仕組み債の組成がうまくいって、利益を押し上げている」
ちなみに、「仕組み債は問題があるのではないか」という当方の疑問にはまったく耳を貸そうとしなかった。問題意識は皆無に等しかったにちがいない。
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