ロシア・ウクライナ戦争がSCO加盟国に広げた波紋は小さくない(C)AFP=時事

 

 2022年9月15日・16日に、ウズベキスタンのサマルカンドで上海協力機構(SCO)首脳会合が開催された。

 SCO加盟国外にとっての一番の関心事が何よりもロシアによるウクライナ侵攻の影響であったことには異論がないであろう。とくに、ゼロ・コロナ政策を進める習近平・中国国家主席の2年8カ月ぶりになる外遊で、ウラジーミル・プーチン大統領とどのような対話がなされるのかに注目が集まった。

 他方で、SCO首脳会合の開催前日にキルギスとタジキスタンで国境紛争が起き、SCOの問題解決能力も焦点となった。さらに、SCOそのものに関しては、イランの正式加盟や加盟国の増加に伴うSCOの変化などが一番の議題であった。

 そこで、本稿では、①キルギス・タジキスタンの国境紛争、②ウクライナ情勢、③中国の影響力、④新規加盟国の4点からSCO首脳会合を整理してみる。

露呈した影響力の欠如

 1年前のドゥシャンベ(タジキスタン)首脳会合は、米軍撤退に伴うタリバン復権という急展開するアフガニスタン情勢の文脈で注目を集めた。

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