バイデン大統領の訪問で改善の兆しが見えた米サウジ関係に再び暗雲(C)AFP=時事

 

 10月5日、主要な産油国による原油生産の調整枠組みである「OPEC(石油輸出国機構)プラス」は、11月・12月の原油生産目標を日量200万バレル引き下げることを決定した

 減産は一般的に原油価格を押し上げる効果を持つ。歳入の4割を石油・ガス収入が占めるロシアにとって、原油価格の高騰は欧米諸国による経済制裁の効果を相殺する働きを持つため、OPECプラスの決定に対し米国政府は強い不満を表明した。

 米国家安全保障担当大統領補佐官と米国家経済会議(NEC)委員長の連名で出された声明では、「(ジョー・バイデン)大統領は、世界経済がプーチンによるウクライナ侵攻の継続的な悪影響に対処している中、目先のことしか見ていないOPECプラスによる生産枠の削減の決定に失望している」と非難した。

 さらに、米政府報道官は「OPECプラスがロシアに与している(is aligning with)ことは明らかだ」と述べ、その政治的立場を問題視した。特に、減産措置を主導したサウジアラビアとの関係を見直すとバイデン大統領は表明しており、7月のバイデン大統領の中東訪問で進められた米・サウジ間の関係正常化の動きは大きく後退することになった。米議員の一部からは、サウジに展開しているミサイル防衛システムを撤収させるべきだとの声も上がっており、両国の軍事協力にまで影響を及ぼしかねない外交問題に発展している。

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