【Analysis】女性の権利弾圧を「ハメネイ後継」への布石にするイラン・ライシ大統領
2022年10月29日
[ドバイ発(ロイター)]女性の権利を厳しく制限しようとするイランのエブラヒム・ライシ大統領の強硬姿勢は、それが一層の抗議運動を招き、支配層とイラン市民との間の溝を深めている。一方で、保守派の中での彼の立場を強め、イラン最高の地位である宗教最高指導者への道を開くことになるかもしれない。ロイターが取材した3人のアナリストと改革派の政府高官が語った。
ライシが保守強硬派の支配する選挙管理体制下で大統領に選ばれたのは、昨年6月。今から振り返ると、ハサン・ロウハニ前政権下でより現実的で穏健だったイランはあの時、終焉を告げた。
ヒジャブと貞操
ライシ政権が今年7月、「ヒジャブと貞操法」施行の徹底を命じたことで、女性への締め付けが厳しくなり、女性が一部の銀行や政府機関に入れない、公共交通機関を使えないという状況が発生した。ヒジャブ(スカーフ)の着用に関する取り締まりも強化された。
そして9月13日、宗教警察がテヘランで、クルド系イラン人で22歳のマフサ・アミニを「不適切な服装」の疑いで逮捕。3日後、昏睡状態に陥ったアミニはテヘランの病院で死亡した。拘束されていたアミニが倒れた日のことについて検視官は、彼女は一時意識を取り戻したが、「心肺蘇生措置がうまくいかず、脳が損傷を受けた」と説明した。家族によるとアミニの心臓には何の問題もなかった。
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