最大の挑戦は経済から来る可能性が高い[新たな最高指導部とともに報道陣に対応する習近平総書記(先頭)、その後ろは総理就任が確実視される李強氏=10月23](C)AFP=時事

 10月に開催された中国共産党第20回党大会の結果は、中国共産党の政治が大きな転換を遂げつつあることをはっきりと示した。

 毛沢東時代(1949~76)の混迷を鄧小平が克服し、鄧小平時代(77~97)を築いた。鄧小平は、92年の南巡講話を経て改革開放政策を不動のものとし、奇跡の経済成長を実現した。鄧小平の政策を実施したのが江沢民(89~2002)と胡錦濤(02~12)であった。改革開放政策が定まり、統治の制度化が進んだ。筆者も含めて多くのチャイナ・ウオッチャーたちは、そういう形で出来上がった統治システムと、その背景にある権力構造や人事の仕組みをいわば与件として習近平政権を眺めてきた。

 しかし今次党大会は、参照されるべきは、その時代ではなく、毛沢東時代、鄧小平時代の政策形成と実施の手法であり、人事だ、ということを示した。その比較により習近平時代の特徴が浮かび上がってくる。中国政治のフェイズ(局面)が変わったのだ。習近平は、この意味で毛沢東、鄧小平に並んだといえる。自省をこめて言えば、習近平が毛沢東と鄧小平を超えようとしているという話しを耳にしてきたにもかかわらず、その本当の意味を、少なくとも筆者は、正確に理解できていなかった。

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