メドベージェフ大統領との双頭体制スタートから一年が過ぎてなお、ロシア最高権力者の座を堅持しているプーチン首相だが、ロシア軍の実力者の一人とされていた軍参謀本部情報総局(GRU)トップの更迭をめぐり、軍との間に軋轢が生じているようだ。 四月末、GRUのコラベリニコフ局長が引退し、後任にシュリャフトゥロフ次長が昇格する人事が発表された。一見、通常の人事にも見えるのだが、モスクワの消息筋によれば、実はコラベリニコフ局長はプーチン首相の進める軍近代化計画に反対してきた。そのため、今回の人事は、事実上の解任とも見られているのだという。 コラベリニコフ氏は一九九七年から局長の職にあり、軍内部では保守派の重鎮として強い影響力を持っていた人物である。 過去数カ月間、軍内部ではプーチン首相の意向を受けたセルジュコフ国防相が、軍の大規模改革計画を提示。この計画をめぐり、コラベリニコフ氏ら保守派が強く異を唱え、激論が繰り広げられていた。特にGRU特殊部隊を削減し軍管区司令部の指揮下に置く案に、同氏らがGRUを弱体化させるものとして猛反発。このことがプーチン首相の怒りを買い解任につながったとの見方が一般的だ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。