ワシントンの対中観には化学変化が起きている[2022年11月14日、バリ島で開催されたG20サミットで首脳会談に臨んだバイデン大統領(右)と習近平国家主席](C)AFP=時事

 ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は11月14日、初めて対面で会談した。衝突を防ぐため、対話を続けることで合意したが、双方の溝は埋まらなかった。

 とりわけ、最大の火種である台湾問題では、対立の根深さが際立った。バイデン氏は台湾海峡の「一方的な現状変更」や、軍事威嚇をやめるよう要求。習近平氏は「台湾問題は(米国が)越えてはならない一線」だと強調し、干渉しないよう警告した。

 米中はただの対立ではなく、新冷戦といってもよい険悪な関係に入り込みつつある。関係の修復は難しく、双方の確執は10年、20年という単位で続くだろう。

対中半導体規制は歴史の転機に

 新冷戦の予兆を強く感じさせるできごとが、10月7日に起きた。ハイテク競争の行方を左右する先端半導体について、バイデン政権が事実上、中国への供給を止める強硬措置を決めたのだ。日本の外交関係者からは「ここまでやるのか」と、驚きの声が漏れた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。