「秩序観の衝突」を経た米中が向かう「退路なき対立」

執筆者:秋田浩之 2022年11月22日
エリア: アジア 北米
ワシントンの対中観には化学変化が起きている[2022年11月14日、バリ島で開催されたG20サミットで首脳会談に臨んだバイデン大統領(右)と習近平国家主席](C)AFP=時事
10月に打ち出された対中半導体規制と最新版の国家安全保障戦略は、オバマ政権2期目以降の米中対立がいよいよ「新冷戦」と呼ぶべき局面に入ることを示している。初の対面での米中首脳会談も、互いの世界秩序観が“水と油”であると認識した双方の溝を埋めるものではなかった。

 ジョー・バイデン米大統領と中国の習近平国家主席は11月14日、初めて対面で会談した。衝突を防ぐため、対話を続けることで合意したが、双方の溝は埋まらなかった。

 とりわけ、最大の火種である台湾問題では、対立の根深さが際立った。バイデン氏は台湾海峡の「一方的な現状変更」や、軍事威嚇をやめるよう要求。習近平氏は「台湾問題は(米国が)越えてはならない一線」だと強調し、干渉しないよう警告した。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
秋田浩之(あきたひろゆき) 日本経済新聞社本社コメンテーター。1987年 自由学園最高学部卒、日本経済新聞社入社。92年 米ボストン大学大学院修了。北京支局、東京本社編集局政治部、ワシントン支局、政治部次長、編集委員兼論説委員を経て、2017年2月より現職。著書に『暗流 米中日外交三国志』(08年)、『乱流 米中日安全保障三国志』(17年)、『ウクライナ戦争と激変する国際秩序』(共著、22年)など。担当分野は外交・安全保障。
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