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 人工知能(AI)は、主要国が近年最も注目している軍事技術の1つである。米国が2014年に発表した「第3のオフセット戦略」は、AIや無人兵器などの先端軍事技術を活用し、米国の優位性の維持を図るものであった。これに対して中国は2019年、AIを利用する新たな軍事戦略「智能化戦争」を発表した。米国が2022年10月12日に発表した「国家安全保障戦略」においても、米国及び同盟国が投資及び活用を促進すべき技術の1つとして、AIが列挙されている。

 また、ロシア・ウクライナの戦争は、双方がAIを使用する歴史上最初の紛争でもあると言われている[1]。ロシアはAIを利用してサイバー攻撃を行い、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が降伏する様子を映したディープフェイク動画を作成した。一方、ウクライナも顔認識技術を使ってロシアの工作員や兵士を特定するなどし、また情報の分析や戦略立案も行っているという。

 ロシアのウラジミール・プーチン大統領は、2017年9月のテレビ演説で、

「真の人工知能を最初に開発した国が世界を支配する」

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