ウクライナへの支援パッケージについて記者会見する欧州委員会のヨハネス・ハーン委員[11月9日、ブリュッセル](C)EPA=時事

   ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、欧州の結束が問われ続けている。「欧州は結束しているのか?」、「欧州の足並みは揃っているのか?」という問いへの答えは、期待値によって変わる。欧州は完全に結束すべきだしそれが可能だという出発点に立てば、現実の欧州は足並みの乱ればかりが目につく。他方、欧州には複雑な利害の相違があり、足並みはいつも乱れているという出発点であれば、現実の欧州の結束度合いは画期的ですらある。

   この問いを考える際は、まず自らの前提・出発点について意識的になる必要がある。そうしないと議論は噛み合わない。

   そのうえで以下では、欧州諸国の結束の実態を読み解いていきたい。まずはEU(欧州連合)における対露制裁、対ウクライナ支援における結束の意味を考え、支援額の格差における地理的要因、そして、今回の戦争で何を追求するのかに関する相違を検証したい。なお、エネルギー危機に関連した結束の問題については別稿で論じることにする。

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