【Analysis】ウクライナの小麦作付け大幅減、世界的な価格高騰は続く見通し

国際市場価格で穀物を売ることができないことが農家の資金不足につながっている　（C）Reuters

［キーウ／ロンドン（ロイター）］戦乱と多雨、経済的な打撃の影響から、世界有数の小麦輸出国であるウクライナの今年の収穫量は約1900万トンと、史上最高を記録した前年の3300万トンから40％以上も減少した。新たな作付けも減少し、2023年にはさらなる激減が避けられないとアナリストたちは見ている。

　ウクライナ産小麦の主要な輸入国はエジプト、チュニジア、モロッコ、インドネシア、パキスタン、バングラデシュなど。トルコに輸出されたウクライナの小麦は小麦粉に加工され、アフリカ、とりわけサハラ砂漠以南の諸国に出荷される。その小麦粉から作ったパスタも、デュラム小麦を使ったパスタに比べて低価格なことから、発展途上国の消費者に人気がある。多くの国の間で代替食糧の争奪戦が勃発し、今年につづく世界的な供給不足と価格高騰につながる公算は大きいと見るべきだ。

ウクライナ農家が陥る資金難

　ウクライナの農家は、資金難から肥料など重要な農業投入財の使用量を減らしており、これは収量減少と品質低下に結びつく。ウクライナ中部で1万5000ヘクタール規模の牧場・農場を営むオランダ人のキース・ハイジンガ氏は「農家は来年どうなるか見通したいので、この秋には作付けらしい作付けはほとんどしなかった。蓄えにあぐらをかいて様子見を決め込む者もいれば、資金が尽きた者もいる。理由はさまざまだ」と語る。世界の食料安全保障を強化する目的で、G20メンバー諸国の要請によって設立された農産物市場情報システム（AMIS）は、ウクライナで収穫減少がつづけば世界の在庫も最低あと1年は回復せず、価格が高止まりして市場の不安定がつづくと警告している。

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