【Analysis】ウクライナの小麦作付け大幅減、世界的な価格高騰は続く見通し

2022年11月26日
タグ: ウクライナ
エリア: ヨーロッパ
国際市場価格で穀物を売ることができないことが農家の資金不足につながっている (C)Reuters
来年夏に収穫する冬小麦の作付けは前年同期を41%下回った。ウクライナで収穫減少がつづけば世界の在庫も最低あと1年は回復せず、価格高止まりが続くと農産物市場情報システム(AMIS)は警告する。

[キーウ/ロンドン(ロイター)]戦乱と多雨、経済的な打撃の影響から、世界有数の小麦輸出国であるウクライナの今年の収穫量は約1900万トンと、史上最高を記録した前年の3300万トンから40%以上も減少した。新たな作付けも減少し、2023年にはさらなる激減が避けられないとアナリストたちは見ている。

 ウクライナ産小麦の主要な輸入国はエジプト、チュニジア、モロッコ、インドネシア、パキスタン、バングラデシュなど。トルコに輸出されたウクライナの小麦は小麦粉に加工され、アフリカ、とりわけサハラ砂漠以南の諸国に出荷される。その小麦粉から作ったパスタも、デュラム小麦を使ったパスタに比べて低価格なことから、発展途上国の消費者に人気がある。多くの国の間で代替食糧の争奪戦が勃発し、今年につづく世界的な供給不足と価格高騰につながる公算は大きいと見るべきだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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