後藤芳光CFO(中央)はFTXへの投資について孫氏(左)を諫める立場だったという[SBG決算説明会=11月11日](C)時事

「決算発表でのプレゼンは、当面の間は今日が最後」

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は、2022年9月中間決算(国際会計基準)の説明会冒頭で淡々と事実上の“投資家一時引退”を宣言した。中国EC大手アリババグループ・ホールディングの莫大な上場含み益を源泉にSBGを投資会社へ変えた孫氏が、アリババ株の含み益の枯渇とともに投資の表舞台から去る。「魔法の杖」が折れた孫氏の復活は容易ではない。

SVFは4兆3535億円の投資損失

 11月11日に発表されたSBGの中間決算は、純損益が1291億円の赤字だった。投資損益は8496億円の赤字。この中には経営破綻した暗号資産(仮想通貨)交換業大手のFTXトレーディングへの投資1億ドル(約140億円)も含まれる。純損益は前年同期の黒字からの赤字転落だ。

 深刻なのは投資損益の内幕だ。中核事業のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が4兆3535億円の投資損失を計上した。それを8496億円の赤字にとどめたのは、アリババ株の売却益3兆5247億円だ。これはSVFではなく、持ち株会社SBGの投資事業益にあたり、SVFは3四半期連続の赤字だった。

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