中国共産党大会で、退席を促される胡錦濤前総書記(右)。さながら習近平(中)への「禅譲」儀式を見るかのようだ (C)EPA=時事

 中国共産党大会の閉幕した当日、衝撃的な光景が、世界を震撼させた。前党総書記・国家主席胡錦濤の強制退席である。動画もウェブなどにアップされたから、寓目の向きも少なくあるまい。

 ひな壇に並ぶ李克強・習近平・胡錦濤・栗戦書というお歴々。そのなかで、しきりに書類を見ようとした胡錦濤と、それを阻止しようとする栗戦書。ほどなく係員がやってくる。胡錦濤は腕をつかまれて立たされ、おぼろげに不満の表情を浮かべながらも抗い、しかしけっきょく連れ出されていった。

 その間いつものように、感情をいっさい消した表情で小さく指示を出し、無視を決め込んでいた習近平。胡錦濤に近い立場の李克強は、その習近平の傍らにあって、やはり目をそらして動かなかった。

 さながら一場のドラマである。メディアで関心が高まったのも無理はない。その影像はひろく流布して、ささやかな駄文の記事にまであしらわれたりもした。

「独裁」の「完成」とは何なのか

 この共産党大会で、習近平体制第3期がスタートした。2期を超えないという慣例に違い、また要人も側近で固めた人事も異例、習近平は独裁体制を「完成」させたとの評価がもっぱらである。

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