「民主主義vs.専制主義」では測れない台湾・香港を習近平が許さぬ理由

執筆者:岡本隆司 2022年12月2日
タグ: 中国 習近平
エリア: アジア
中国共産党大会で、退席を促される胡錦濤前総書記(右)。さながら習近平(中)への「禅譲」儀式を見るかのようだ (C)EPA=時事
中国の政体は、独裁こそ史上の通例――なぜなら、個々バラバラな地域を統べる王朝の統一イデオロギーには「中央」「核心」が不可欠だからだ。ゆえに、独裁は常に「完成」することがない。習近平政権をめぐる西欧的紋切り型の解釈は、たとえば歴史的所産としての台湾・香港問題の構図を見えにくくする。

 中国共産党大会の閉幕した当日、衝撃的な光景が、世界を震撼させた。前党総書記・国家主席胡錦濤の強制退席である。動画もウェブなどにアップされたから、寓目の向きも少なくあるまい。

 ひな壇に並ぶ李克強・習近平・胡錦濤・栗戦書というお歴々。そのなかで、しきりに書類を見ようとした胡錦濤と、それを阻止しようとする栗戦書。ほどなく係員がやってくる。胡錦濤は腕をつかまれて立たされ、おぼろげに不満の表情を浮かべながらも抗い、しかしけっきょく連れ出されていった。

カテゴリ: 政治 社会 カルチャー
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執筆者プロフィール
岡本隆司 京都府立大学文学部教授。1965年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は近代アジア史。2000年に『近代中国と海関』(名古屋大学出版会)で大平正芳記念賞、2005年に『属国と自主のあいだ 近代清韓関係と東アジアの命運』(名古屋大学出版会)でサントリー学芸賞(政治・経済部門)、2017年に『中国の誕生 東アジアの近代外交と国家形成』で樫山純三賞・アジア太平洋賞特別賞をそれぞれ受賞。著書に『李鴻章 東アジアの近代』(岩波新書)、『近代中国史』(ちくま新書)、『中国の論理 歴史から解き明かす』(中公新書)、『叢書東アジアの近現代史 第1巻 清朝の興亡と中華のゆくえ 朝鮮出兵から日露戦争へ』(講談社)、『悪党たちの中華帝国』(新潮選書)など多数。
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