2022年11月24日、ベルギーのブリュッセルで開催されたEUの臨時エネルギー相理事会で話し合うチェコのヨゼフ・スィーケラ産業貿易相(左)とベルギーのティンネ・ファン・デル・ストラーテン・エネルギー相(右)(C)EPA=時事

 ロシアによるウクライナ侵攻が、ロシア、ウクライナ両国を超えて最も大きな影響を及ぼしているのはエネルギーの分野だろう。もっとも、国際的なエネルギー価格が戦争以前から上昇基調だったことは事実であるし、原油や天然ガスの市場価格は、需給バランスとともに世界経済の景気観測などに大きく規定されるとも指摘されている。その観点で、2022年2月の開戦以降のエネルギー価格高騰の原因をすべてウクライナ侵攻に帰するわけにはいかない。それでも、特に欧州に関する限り、ロシア・ウクライナ戦争がエネルギー危機を深刻化させている最大の原因であることは明白だ。

 ただし、このエネルギー危機をいかに捉えるかは、容易な問題ではない。まず、焦点の一つは天然ガスだが、それはまだEU(欧州連合)を含め、米欧日などの対露制裁の対象になっていない。輸出の削減や停止を行っているのはロシア側だ。

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