雨宮副総裁の“固辞”は、はたして本音か計算ずくか  (C)時事

   来年4月8日に任期満了となる日銀の黒田東彦総裁(78)の後任選びが最終局面に入った。最大の焦点は、アベノミクスの柱の一つ、異次元緩和を修正するかどうかだ。アベノミクス路線の継続を主張する議員らの圧力は依然、残っている。しかし、安倍晋三元首相の死が、後任レースに微妙な変化をもたらしているようだ。

   現在、有力候補に挙がっているのは日銀の雨宮正佳副総裁(67)と中曽宏元副総裁(大和総研理事長=69)の2人だ。そもそもこの2人が後継候補と目されたのは、「安倍政権時代に任命された副総裁」であることも理由の一つ。しかし、「安倍さんが死んで、後任総裁をどうしても2人から出さなくてはならないという雰囲気は薄らいでいる」(永田町関係者)。

 

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   一方で、政府・自民党の一部には、金融政策の正常化を求める考え方も台頭してきた。永田町筋によれば、首相官邸内も「いずれは正常化」との認識を持っている。仮に、岸田文雄政権が路線変更を印象付けたいと判断すれば、異次元緩和を支え「黒田総裁の“共犯”」(有力エコノミスト)と評される雨宮氏の総裁就任はふさわしくない。実際、異次元緩和路線を終わらせようと続けようと、新総裁は「辛い役回りを強いられる」(日銀関係者)。「就任後の風当たりを弱める計算ずく」(市場関係者)との皮肉な見方もあるものの、最近の雨宮氏は周囲に総裁就任を固辞する意向を漏らすようだ。

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