「総裁任期中の改憲」は実現するか(C)時事
 

 秋の臨時国会が12月10日に閉幕した。会期中は閣僚3人が更迭されるなど不穏な空気に包まれたが、憲法改正議論は粛々と進み、衆院憲法審査会では緊急時に国会議員の任期延長などを認める「緊急事態条項」の論点整理が行われた。来年の通常国会では、改憲原案の練り上げに向けた具体論がどこまで進むかが焦点となる。

与党間の溝が浮き彫りになる「緊急政令」

「臨時国会では緊急事態条項をめぐり、各党の主張に関する論点整理が行われた。議論を通じて国会で与野党の合意を得ながら一つひとつ結論を出していく必要があり、そのための一歩として歓迎をしたい」

 岸田文雄首相(自民党総裁)は閉会日となった12月10日夜の記者会見で、今国会で改憲議論が進んだことをこう評価した。

 臨時国会での衆院憲法審は、今年前半の通常国会と同じように、ほぼ毎週1回は定例開催として自由討議が実施された。昨年まで開催自体に慎重だった立憲民主党が、改憲勢力の一翼を担う日本維新の会との共闘を重視し、開催に表立って異論を唱えなかったからだ。

 憲法審では、改憲勢力を構成する自民や公明党、維新、国民民主党が「早期に合意できそうな検討課題から議論を煮詰めたい」(与党筆頭幹事の自民・新藤義孝元総務相)との認識を共有。緊急事態条項は改憲勢力の4党がもっとも足並みをそろえやすいテーマでもあることから、公明などが衆議院法制局に対し、これまでの議論を踏まえ、各党の主張をまとめた論点整理の策定を求めていた。

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