福留次期頭取は「企画部経験のないメガバンクトップ」としても初のケースとなる  (C)時事

「豊田章男氏(トヨタ自動車社長)に対する忠誠の証だ」――。メガバンク役員がこう指摘するのが、三井住友銀行が発表した頭取人事である。同行は旧住友銀行出身の髙島誠頭取(64)の後任に、旧三井銀行出身の福留朗裕専務(59)を昇格させることを決めた。

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、持株会社会長と社長、銀行会長と頭取が中枢4ポスト。昨年、旧三井銀出身の宮田孝一銀行会長が急逝したため、國部毅持株会長(68)が銀行会長を兼務し、4ポストすべてを旧住銀が独占する事態に陥っていた。このため、旧三井銀からの登用そのものは既定路線ではある。

 その一方で金融界を驚かせたのは、その人選だ。これまで本命候補に浮上したのは、三井銀を代表して「二木会」(後述)に参加していた大島眞彦副頭取(62)や、今年4月の昇格で一躍注目を集めた萩原攻太郎専務(57)といった、経営企画畑での経験がある人材だ。ところが、市場・海外畑の福留氏が選ばれる抜擢人事となった。

 このサプライズ人事の裏で、金融界で存在感を際立たせているのが、豊田社長なのである。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。