孫文(中央)は毛沢東(左)、蔣介石(右=(C)中華民国総統府)にとっての「革命の父」だった

 中国側が日本の悪口を並べるのは、かねて茶飯事的な風景である。言う中国人も言われる日本人も、もはや慣れたものだ。けれども最近は、日本側が中国の脅威を名指しで非難する。これはめずらしい。言う方も聞く方も慣れない感触があるのではないか。

日中の現在と過去

 いわゆる「米中対立」、そしてウクライナ問題のあおりを受けた日中関係の一コマとはいえ、あからさまにここまで険悪な仲になったのも、近年では異例だといえよう。もっとも歴史をさかのぼれば、そんなことはない。

 一口に日中関係といっても、日本人の立場からすれば、いろんな時代・局面が存在した。古代から数えれば1500年の長きにおよぶし、事件・史実もたくさんある。遣唐使・日宋貿易・蒙古襲来・勘合貿易・倭寇に鎖国……。

 とりわけ近代史は嶮しい。明治維新以後、国交を樹立してからは、むしろ対立と戦争がその基調である。侵略と抵抗のあげく、戦後に入って潰滅と復興、断交と復交があいつぎ、近年ようやく何とか繁栄と共存にたどりついた。

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