2022年は急激なインフレに見舞われた米国だが……(C)AFP=時事

 

 2023年の世界経済は多くの国でリセッションとなりそうだ。2022年はインフレを抑制するため、各国で急激な利上げが実施されてきた。インフレが加速する事態は頭打ちになりそうだが、金融引き締めという急ブレーキを踏んできただけに、それが景気悪化となって表れる年になる。

インフレに翻弄された2022年

 2022年2月、ロシアによるウクライナ侵略によって、核保有国が主権国家に侵略するという、起きてはならないことが起き、世界経済は大混乱となった。それ以前は、各国がデジタルと環境対策を柱に経済復活を図るべく政策が打たれてきたが、新冷戦構造が現実のものとなり世界が分断する中、天然ガスを中心にエネルギーや食糧の争奪戦が開始された。

 米国ではインフレが深刻となり、それを抑え込むためにFRB(連邦準備理事会)は0.75%の利上げを4回、今年だけで合計4.25%の利上げを実施するなど、過去に例のない速さで引き締めを行った。このことがドル高を生み、自国通貨安となって輸入物価が急騰し、国内の景気低迷とインフレの同時進行というスタグフレーションに追い込まれる国が続出した。

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