2023年の日本経済見通し:カギを握る経済安保

執筆者:矢嶋康次2023年1月2日
厳しいグローバルリセッションの2023年をどう乗り切るか(C)EPA=時事
 

 2023年の日本経済はグローバル・リセッションの中に突入する。分断、インフレなど世界を覆う問題が山積する中、出遅れた日本の成長力を取り戻すために、この苦しい状況の中で何ができるか、真価が問われる年となる。

日本にとって押さえておかなければならない2つの事実

 来年の日本経済を論じる前に、きちんと認識しておくべき事実が2つある。

 1つは、コロナ対応で日本は完全に世界に出遅れたということである。言葉で語るよりも図表1を見れば明らかだろう。

(筆者作成、以下同)
 

 日本は、死亡者数を少なく抑えたという面で言えば、コロナ禍をうまく乗り切ってきたと言えるが、残念ながら経済から見れば世界の回復から取り残されている。もっとうまくやる方法はあるはずだが、未だできていない。

 もう1つは、これから先の経済に大きな影響を与える過去の事実である。

 

 図表2は、過去の日米の景気後退期を表している。日本は米国に比べて景気後退期の数が多く、期間も長いことが分かる。そして、過去において逃れられないのは、米国が風邪をひくと日本も風邪をひいてきたという事実だ。来年、米国が景気後退入りするとなれば、日本も景気後退に陥るということを、この図表は物語っている。

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