「ウルムチ火災」の後、北京で抗議デモに参加した人々 ©AFP=時事

 

瞬く間に全土へ広がった抗議行動

 11月下旬から12月上旬にかけて、中国各地で天安門事件以来最大の規模といわれる抗議行動が発生した。その背後には、ゼロコロナ政策によるロックダウンの長期化、厳しい隔離措置、その他さまざまな日常生活への制約に対する不満があった。参加者が白紙を掲げて抗議を行ったことから、「白紙運動」または「白紙革命」と呼ばれ、一時中国は騒然となった。その後12月に入り、中国政府がゼロコロナ政策を放棄することが確定的になると次第に下火になった。

 この反ゼロコロナ抗議デモの直接の発端となったのが、11月24日夜に新疆ウイグル自治区の区都ウルムチで発生した火災事件である。ウルムチ市中心部の21階建てのマンション(天山区金銀路613号吉祥苑小区8号棟)の15階から出火した。後述するさまざまな要因が重なり、19時49分に通報があってから22時35分に鎮火するまで、2時間46分もかかる事態となった。その結果、通常であれば助かる命が多く失われることとなった。

 死者数は、中国政府の公式発表では10人とされるが、その通り信じることはできない。世界ウイグル会議のドルクン・エイサ総裁によれば、証言をあわせると少なくとも16人の死亡者リストができるという1。現地は厳しい情報統制下にあるため、死者数を確定させることはできないが、44人が亡くなったという説が流布している2。いずれにせよ死者数は政府公式見解を大きく上回る可能性がある。

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