アルゼンチンBRICS加盟の背景にある中国依存

執筆者:西濵徹2023年1月11日
アルゼンチンと中国の蜜月がもたらすもの(C)AFP=時事

 

 アルゼンチンのアルベルト・フェルナンデス大統領は、2022年6月に開催された「新興国の雄」と称される中国、インド、ブラジル、ロシア、南アフリカの5カ国で構成されるBRICSの首脳会議に参加し、BRICSへの加盟を要望する意思を表明した。コロナ禍の影響により首脳会議そのものはオンラインで開催されたものの、中国がBRICSの議長国を務めていたことに加え、アルゼンチンが中国の招待により参加していたことを勘案すれば、アルゼンチンの動きは中国の意向が大きく影響したものと考えられる。

 さらに、その後7月にインドネシアにおいて開催された主要20カ国・地域(G20)外相会議に合わせて両国は外相会談を行い、中国は正式にアルゼンチンによるBRICS加盟を支持することを表明した。こうしたことから、正式加盟には既加盟国による全会一致が前提であるものの、アルゼンチンのBRICS加盟に向けた動きは着実に前進していると捉えられる。

2001年デフォルト後の経済状況 

 アルゼンチンがBRICS加盟を目指す背景には、ここ数年の同国経済が極めて厳しい状況に直面しており、BRICS加盟を通じた経済関係の深化を通じて局面打開を図りたいとの思惑が影響している。

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