「芯のない男」と揶揄されるマッカーシー氏は「中国叩き」で「偉大な政治家」をアピールする(c)AFP=時事

 

 15回もの投票の末に選出されたケビン・マッカーシー米下院議長は異例の弱い議長としてスタートした。20年前カリフォルニア州議員に初当選して以来あらゆることに譲歩を重ね、「芯のない男」と呼ばれるマッカーシーだが、最近は中国に対するタフさを信条としている。下院議員歴16年という比較的若手の新議長は、党内強硬派と民主党に挟まれて多数派を握れていない。綱渡りの議会運営を強いられる中で、「反中国」を看板に難局突破の活路を見出しそうだ。それは日本にとって吉と出るか、凶と出るか。

政治ショーとなる特別委員会

 取っ組み合いの手前までいった下院議長選出から3日後の1月10日、マッカーシーは議長最初の仕事の一つとして「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」(以下、中国特別委員会)を設置した。設置決議は賛成365対反対65。共和党は全員、民主党からも146人が賛成に回った。

 米議会には外交、軍事、司法、歳出など分野ごとに常任委員会がある。新設された「中国特別委員会」は常設ではないが、中国との戦略競争は今後長期的に続くので、現在の118議会会期(2023~25年)を越えて継続する公算がある。主に調査と政策提言を行い、立法は担当しない。

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