ウクライナのNATO加盟に向けた道のりは平たんではない(C)AFP=時事

 

 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、最前線でロシア兵と戦っているのがウクライナ軍である。その歴史をひもとくと、ウクライナ軍はソ連時代のウクライナ共和国から引き継いだ軍隊をもとにしてつくられ、2014年以降の軍改革を通して、NATO(北大西洋条約機構)加盟国と同程度の軍事力を獲得し、最終的にNATOの一員になることを目指している。なぜウクライナがロシアとの戦争を継続出来るのかを理解するためには、米欧からの軍事支援だけでなく、それを運用するウクライナ軍の建設史を踏まえる必要がある。 

 本記事では、独立後からロシア侵攻までを対象にして、ウクライナ軍建設の道のりを概観する。それによって、ウクライナ軍建設史には、ソ連解体に伴ってウクライナ共和国から引き継いだ軍の「建設」と、NATO加盟国に求められる基準への「再建設」があったことを明らかにする。その上で、政軍関係のあり方を見ると、ウクライナのNATO加盟に向けた軍の再建設は未完であることを、元兵士と政治家の恩顧主義的な関係を幾つか紹介しながら指摘する。 

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