※小泉悠氏・小谷賢氏の対談に編集・再構成を加えてあります。

 

初の特定秘密漏洩事件

小泉 今日のテーマは「日本のインテリジェンス~いかに機密を守るか~」ということですが、まさに昨日(12月26日)、海上自衛隊の一佐がOBの元海将に特定秘密を洩らしたとして懲戒免職になりました。

小谷 特定秘密保護法の成立から9年ですが、この制度は凄く厳格で、特定秘密を扱うクリアランスも厳しくチェックされるので、もう漏れてしまったのかと驚いています。ロシアや中国に流れたわけではないことに、やや安堵はしていますが。

小泉 10年程前に元陸将が駐日ロシア大使館の武官に資料を渡していた事件がありました。今回は情報の流出先が海自OBで、講演活動に必要な資料を部下に出させたそうですが、この海自OBにロシアや中国のスパイが近づいてきていたらどうなっていたのだろうかと考えてしまいます。

小谷 その可能性は多分にあります。もし仮にロシアや中国の接触があれば、公安警察がマークしているはずなので、そこから何らかの情報が入ってくるでしょう。

 いずれにせよ、OBが辞めた後にかつての部下に対して「資料を出せ」と言うのは問題です。自衛隊OBは辞めた後もパスをもらって基地や駐屯地に出入りできたりするので、しがらみが切れないと言いますか、現役の方もOBに頭が上がらないところがある。それが悪い方向に行ったのかなという気がします。どの省庁でも、長く務めた人は辞めた後もなかなか現役の気分が抜けない。

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