チュニジアの地域社会に根差すハリッサづくり。ハリッサはアラビア語の「つぶす」という言葉に由来するという(c)EPA=時事

 

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)が2022年11月28日~12月3日にかけてモロッコの首都ラバトで第17回政府間委員会を開き、日本の「風流踊」を含む39件を無形文化遺産に登録した。

 今回の会合では、これまで登録候補の主流を占めていた民俗行事や祭礼とは別に、「バゲットの職人技」(フランス)や「チャイ(紅茶)文化」(アゼルバイジャン、トルコ)など、食に関する案件が目立った。無形遺産と商業利用の結びつきがなし崩し的に深まる状況が浮き彫りになった。

激辛料理が「無形遺産」ではありません

 政府間委員会が開かれたモロッコの首都ラバトは、アフリカ北部に位置し、フランス保護領時代の建物とイスラム文化の影響を受けた街並みが融合した独自の景観を保持している。「ラバト:近代都市と歴史的都市が共存する首都」との名称で2012年に世界文化遺産にも登録された。

 2020年のジャマイカ、2021年のスリランカ、ともにコロナ禍により、ほぼオンラインでの実施だったため、ラバトでの開催は3年ぶりのリアル会合となった。会場に集まった各国の政府代表もどことなく久々の会合に気分を高揚させているような雰囲気があった。

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