気球は偵察衛星画像を補う高解像度画像の撮影にも活用できるという[2023年2月4日、米サウスカロライナ州サーフサイドビーチ沖合で撃墜された気球](C)REUTERS/Randall Hill

[北京発(ロイター)]米国が「スパイ気球」と呼ぶ飛翔体をめぐり米中が対立する中、2月4日、サウスカロライナ州の上空で米軍戦闘機が気球を撃ち落とし、米政府が落下物を回収した。中国外務省は繰り返し科学的な観測気球が進路を逸れたと主張し、撃墜は「過剰反応」だと批判している。しかし、中国が気球技術の軍事利用に関心を高めていることを示す複数の文書がある。

 昨年4月、中国人民解放軍の「特殊航空機」に特化した研究所が発表した文書には、気球を軍事的に有効活用する方策の1つは敵の防空能力を試すことであると書かれていた。「(気球は)敵の防空システムが作動するよう誘導し、どのように電子的偵察が行われ、防空システムの早期警戒・反応能力がどれほどであるかを測ることができる」。研究者らはそう書いた。

 他にも、人民解放軍系の複数の刊行物が、中国軍幹部が気球の軍事利用に高い関心を持っていることを示している。彼らは米国はじめ各国が過去どのように気球を軍事利用していたか熱心に学び、この領域で他国との差を埋める明確な意志を持っている。

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