ワグネルを創設したことを昨年9月に認めたプリゴジン氏(C)AFP=時事

 

 2月24日で開戦1年となるロシアのウクライナ侵攻は、ウクライナ側の強い抵抗と米欧の兵器供与によって、ロシア軍の想定外の苦戦が続いている。それでもウクライナ領の約2割を占領したロシア側は攻勢の手を緩めず、戦争の終結は見通せない。まるで20世紀前半に戻ったかのような大規模な侵略戦争の中で、注目を集める存在の1つがロシア側の異形の戦闘部隊だ。

 それは、新興財閥主(オリガルヒ)のエフゲニー・プリゴジンがオーナーを務める民間軍事会社「ワグネル」と、露南部チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長の傘下にあるチェチェン人部隊「カディロフツィ」である。それぞれを率いる2人は共にウラジーミル・プーチン大統領に近く、国内で主戦強硬派として台頭した。ウクライナ軍の反転攻勢が続いた昨年秋などには、軍高官の戦略の不手際を激しく批判して注目を集めた。

 今年に入っても、1月に東部の要衝バフムトに近い町ソレダルの制圧を巡って、プリゴジンがワグネルの貢献を強くアピール。露国防省は「軍部隊の功績」としていた発表の後、ワグネルにも触れる内容へ事実上修正する異例の出来事もあった。2人はメディア空間やSNSも駆使し、独自の戦闘部隊を配下に持つ強みを最大限に発揮している。

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