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【前回まで】自国の平和は自国で――秘密裡にもたらされた米国からの一方的な通告。自主防衛を迫られた防衛省は、磯部に「Xミッション検討会議」立ち上げを命じる。

 

Episode1 防人の覚悟

 

2(承前)

 人選も磯部に一任され、総勢八人の入省15年目以上の中堅幹部が集められた。

 大臣官房から二人、予算策定を担当する防衛計画課の部員、自衛隊を統括する統合幕僚監部、陸海空幕僚監部から二佐クラスを各1名ずつ。そして、防衛装備庁装備政策部の課長という顔ぶれだった。

 市ヶ谷の厚生棟の一室に集い、毎週土曜日の午後から深夜まで、それぞれの立場から問題点を挙げ、日本の自主防衛について熱い議論を交した。

 四月に入り、「自主防衛の定義策定と具体的な補強点」のフェイズに進んだ。

「そもそも、自国を守る覚悟を持たない自衛官など存在しない。だが、改めて自国を守るという哲学を共有するのは大変有意義だと思う。

 その場合、アメリからの通告がどうあろうと、日米安全保障条約に則った防衛なのか、あるいは、米軍は存在しないとして国防を考えるべきなのか。それによって覚悟は変わる」

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