中国が台湾を併合すれば、台湾島自体を大規模に軍事化することが想定される[2022年8月4日、ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けての軍事演習を控え、台湾に近接する福建省平潭島を飛行する中国軍のヘリコプター](C)AFP=時事

 ここのところ日本の新聞や雑誌を見ていると、「台湾有事」という文字が見当たらない日はほとんどない。実際に有事が起きた場合、日本はどうすれば良いのか、というシミュレーションもいろいろな研究機関などによって頻繁に行われている。

 筆者は、最近、台湾での研究生活を終えて帰って来たが、台湾での報道ぶりと比べても、日本での「台湾有事」の盛り上がりは著しい。またその議論の中身も特異で違和感を感じる。

 そうした議論のほとんどは、台湾をどう防衛するか、ではなく、日本が台湾有事に巻き込まれないためにはどうしたら良よいか。あるいは、万が一巻き込まれても、被害を最小限に食い止めるのには、どうしたら良いか、という点に焦点が絞られている しかし、それで本当に充分なのだろうかという疑問を感じるのだ。そうしたアプローチで、日本の自由と安全、繁栄といった国益は守れるのだろうか。

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