ノーベル賞受賞者も出した、科学技術系の沖縄科学技術大学院大学(「OIST」HPより)

 世界が大きく変わる中、「変わらない」あるいは「新しい可能性がない」といわれる日本。だが、そんな日本でも、従来の組織とは大きく異なり、国際的にも評価され、日本社会に新しい可能性を生みつつある組織がある。

 それが、沖縄科学技術大学院大学(OIST)だ。OISTは、昨年同大からノーベル賞受賞者を出したり(スバンテ・ペーボ教授が生理学・医学賞を受賞)、研究機関のランク付けなどで世界的権威のあるNature Indexの2019年版「質の高い研究機関ランキング」(表1参照)で9位に入るなど、国際的にも研究成果が評価され、注目が集まりつつある博士課程のみの大学院大学である。同ランキングで東京大学が40位、京都大学が60位であることに鑑みれば、2011年設立のOISTが短期間で、国際的にも高い評価を得つつあることがわかる。

表1:質の高い論文の割合が高い研究機関ランキング (Nature Index2019を基に筆者作成)

 だが、筆者のOISTでの滞在研究(注1)での知見や経験からすると、OISTは、研究成果のみならず、それを支えるあるいは取り巻く周辺の仕組み・施設や人材なども含めてみていかないと、その全体像や日本社会などにおける意味や役割が理解できないといえる。

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