「重要兵器実験と戦略的目的の発射訓練」に現れたが、見出しに「敬愛する金正恩同志」の「指導」とは書かれなかった(『わが民族同士』HPより)
 

 3月13日から23日に展開された米韓合同軍事演習への対抗措置として、18日、19日の両日に「核反撃仮想総合戦術訓練」、21日から23日にかけては「軍事的攻撃能力の示威として敵どもに実質的な核危機について警告し、自衛的核力量の信頼性を検証するための訓練」が立て続けに実施され、それぞれ20日付、24日付で報じられた。海中で核爆発を起こして巨大な津波を発生させることができるという「核無人水中攻撃艇」の実験にも注目が集まった。全体として、「米帝」と「南朝鮮傀儡逆徒」に対する敵愾心を剥き出しにした報道ぶりである。

 いずれの訓練も金正恩(キム・ジョンウン)総書記が「指導」しているにもかかわらず、従来とは異なり、記事のタイトルに同氏の名前を出していない点が目を引いた。そもそも北朝鮮においてプロパガンダの基本は「偉大性宣伝」であり、最高指導者の名を太字ゴシック体にして目立たせたり、文の末尾に名前が表示されないよう不自然な改行をしたり、といったところに特徴がある。金正恩氏が参加した行事では同氏が主語となるのが基本であり、例えば10日付1面トップは「敬愛する金正恩同志が重要作戦任務を担当している軍部隊を現地指導され、火力襲撃訓練をご覧になった」という表題になっていた。

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