Weekly北朝鮮『労働新聞』 (5)

見出しに「金正恩」がないのは神格化へのブレーキか(2023年3月19日~3月25日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年3月27日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
「重要兵器実験と戦略的目的の発射訓練」に現れたが、見出しに「敬愛する金正恩同志」の「指導」とは書かれなかった(『わが民族同士』HPより)
「米帝」と「南朝鮮傀儡逆徒」への敵愾心を剥き出しにしながら、見出しに「金正恩」がない記事が散見される。「偉大性宣伝」の基本を外した神格化へのブレーキか、エスカレーション抑制か。『労働新聞』注目記事を毎週読解
 

 3月13日から23日に展開された米韓合同軍事演習への対抗措置として、18日、19日の両日に「核反撃仮想総合戦術訓練」、21日から23日にかけては「軍事的攻撃能力の示威として敵どもに実質的な核危機について警告し、自衛的核力量の信頼性を検証するための訓練」が立て続けに実施され、それぞれ20日付、24日付で報じられた。海中で核爆発を起こして巨大な津波を発生させることができるという「核無人水中攻撃艇」の実験にも注目が集まった。全体として、「米帝」と「南朝鮮傀儡逆徒」に対する敵愾心を剥き出しにした報道ぶりである。……

カテゴリ: 政治 軍事・防衛 社会
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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