Weekly北朝鮮『労働新聞』
Weekly北朝鮮『労働新聞』 (156)

党幹部の世代交代進む:崔龍海、朴正天、李炳哲、呉秀容が中央委員を退任(2026年2月22日~2月28日)

執筆者:礒﨑敦仁 2026年3月2日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
趙甬元、金才龍、金与正らに贈物が授与されたという[幹部らに新型狙撃銃をプレゼントする金正恩国務委員長と娘=2026年2月27日](C)AFP=時事
第9回党大会で金正恩を含む139人が党中央委員に選出された。全体として大幅な入れ替えで、世代交代が進んだ。また、新たな常務委員会には軍人出身者が含まれず、金正恩国務委員長が軍への配慮を明示する必要がないほど、その掌握に自信を持っていると解釈できる。妹の金与正中央委員会副部長は総務部長に昇任した。【『労働新聞』注目記事を毎週解読】

 朝鮮労働党第9回大会は、2月19日から25日までの7日間開催された。20日の「2日目会議」、21日の「3日目会議」では、金正恩(キム・ジョンウン)総書記による党中央委員会第8期活動総括報告が行われた。今次党大会の第1議題である。報告が終わると、咸鏡(ハムギョン)南道党組織代表である新浦(シンポ)市党委員会のチャン・ギョングク責任書記と平壌(ピョンヤン)市党組織代表である崔善姫(チェ・ソニ)外相による「討論」が行われた。

 22日の「4日目会議」でも討論が継続された。内閣の党組織代表、本部の党組織代表が討論者となったほか、各レベルの党組織代表が書面討論を提出した。各討論者は活動総括報告に対する「全幅的な支持」を表明し、金正恩の「卓越した思想理論と精力的な領導」によって各分野、各地域が同時均衡的に発展する成果を得たとした。第1議題に関する決定書は、「部門別研究及び協議会」で検討した後に政治局が審議し、大会に報告して採択されたという。

党規約改正、南北統一の扱いは不明

 第2議題「朝鮮労働党規約改正について」については、趙甬元(チョ・ヨンウォン)が報告者として提案した同名の決定書が全会一致で採択された。『労働新聞』23日付第6面には、決定書の全文と見られる記事が掲載されたが、第8回大会での改正と同様に本文は非公表であり、現段階では報道ぶりから改正内容を推測するしかいない。前回は党大会開催から約5カ月後に改正党規約が非公式に流通した。

 今回の改正は、「わが党特有の面目と領導力をよりいっそう向上させ、党事業と党活動をより正規化、規範化するための実践的問題を反映」することに目的があるという。「新時代の5大党建設路線を思想理論的指針として全党強化の最盛期を拓いていこうとするわが党の一貫した立場と意志を込めて、政治建設、組織建設、思想建設、規律建設、作風建設を恒久的な党建設路線として掌握していく」ことが明文化された。また、「党建設と党活動全般に対する党中央の唯一的領導体系を徹底的に確立し、中央集権的規律を強化する原則で党中央指導機関の権能と事業体系」を明確に規定したほか、党事業を「革新的に改善」する方向性で章、条項の一部の内容を改正したという。

 一方、南北統一に関する記述の改正有無については一切触れられなかった。従来の党規約には、「民族自主の旗幟、民族大団結の旗幟を高く掲げて祖国の平和統一を早め、民族の共同繁栄を成し遂げるために闘争する」といったくだりがある。

謎の人物「申永日」が政治局員に

 第3議題「朝鮮労働党中央指導機関の選挙」では、大会執行部の委任によって、李煕用(リ・ヒヨン)が第9期党中央委員会のメンバーを提案するなどの手順が踏まれた。

 まず金正恩が党中央委員に選出された後、他の138人の委員が選出された。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治外交。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、『北朝鮮を読み解く』(時事通信社)、共著・編著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)、『北朝鮮を解剖する』(慶應義塾大学出版会)など。
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