電撃訪問で広島サミットの環境は整った(C)時事
 

 岸田文雄首相が外交実績を積み重ね、低迷していた内閣支持率を急回復させている。3月21日にはウクライナの首都キーウを極秘裏に訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談。16日には韓国の尹錫悦大統領を官邸に招き、戦後最悪とも言われた日韓関係の改善を進めた。

 今の首相の政権運営には不安要素が乏しい。国会では放送法の「政治的公平性」に関する総務省の行政文書を巡り、「捏造だ」と訴える高市早苗経済安全保障担当相が野党の激しい追及を受けたが、総務省の聞き取り調査では捏造か否かは確認しきれず、政府は放送法の解釈を変更した事実はそもそもないという立場だ。高市氏を巡っては、4月の奈良県知事選で自身が擁立した元総務官僚が苦戦しているが、同月投開票される衆参5つの補欠選挙や他の統一地方選では与党系候補が堅実な戦いをしており、首相にとってさらなる追い風となる可能性もある。

 政権運営に明るい兆しが生まれたことで、永田町には衆院解散風も少しずつ吹き始めている。

想定以上の成果

「連絡が遅くなって申し訳ない。今、列車でポーランドを出発したところだ。これからウクライナに行き、ゼレンスキー氏と会談する」

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