中国政府が自動車業界の再編に本格的に乗り出した。中国の今年の新車販売台数は一千万台を突破する見込みで、金融危機により低迷する米国を抜いて世界最大の市場となる可能性が高まっている。ただ、中国では百社以上のメーカーが乱立し過当競争の懸念も強まっているため、政府は海外メーカーとの合弁生産により経営体力をつけた大手を軸に再編を進める計画だ。 中国政府がこれまでに打ち出した再編案は、生産が二百万台以上の最大手二―三社、百万台以上の大手四―五社を軸に経営統合などを進めるという内容。 具体的には、トヨタ自動車やドイツのフォルクスワーゲン(VW)と合弁で生産する第一汽車、ホンダや日産自動車と提携する東風汽車、米ゼネラル・モーターズ(GM)やVWと提携する上海汽車、マツダや米フォード・モーターと提携する長安汽車の四社を軸に全国規模の吸収合併が進む見通し。 このほか、韓国の現代自動車などと提携する北京汽車、「中国のデトロイト」と呼ばれる広東省にある広州汽車などを軸に地域レベルでの再編が進むとみられている。 中国の自動車市場は、政府が景気対策として一月から排気量千六百cc以下の小型車購入に対する減税を実施したことが追い風になっている。ただ、販売台数が増えたとはいえ、金融危機による在庫処分の値引きにより金額ベースで業績が悪化したメーカーも少なくない。中国紙、上海証券報によると、一―二月の中国の主要メーカーの売り上げは九・四%減、利益は半減した。環境汚染が深刻な中国は今後、ハイブリッド車や電気自動車などの開発を進める計画だが、膨大な開発費用を負担するには重点的に育成するメーカーの絞り込みが不可避だった。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。