五十玉の行方

執筆者:阿川佐和子2023年4月15日
玉ねぎ50玉! あなたならどうやって食べる?(写真はイメージです)

 ふるさと納税を利用して、返礼品に淡路島の玉ねぎを注文した。まもなく段ボール箱いっぱいの玉ねぎが届いた。二十キロ。個数にすると、大玉が五十個はありそうだ。日持ちがするし、必ず使うと思って選んだ玉ねぎではあるが、さすがに多いぞ。

 当然のことながら冷蔵庫には入り切らない。段ボール箱ごとベランダに置く。寒い季節の間は大丈夫だろう。そして私の玉ねぎとのディープな生活が始まった。

 新鮮なうちはもっぱら生で食べる。薄く切ってサラダに乗せ、あるいはみじん切りにしてドレッシングと合わせる。

 玉ねぎだけのサラダもいい。スライスした玉ねぎを冷水にさらし、よく水を切って鉢に盛り、上から酢醤油でもマヨネーズでもドレッシングでも好きなようにかけて食らいつく。五十代から、「あなたの血管は七十八歳」と宣告された動脈硬化気味の私にとって、なによりの薬でもある。血液さらさらになあれ、血液さらさらになあれ。唱えながら毎日、生玉ねぎを口に運んだ。そのうち、飽きた。

 他にもカレーのときに多めに使ったり、みそ汁に入れたりすき焼きに加えたり、おでんの具にしたり、なんだかんだで玉ねぎを頻繁に登場させた。でもたいして減らない。

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