連載小説 オペレーションF[フォース] 第7回
2023年4月8日

(C)時事通信フォト[写真はイメージです]
【前回まで】磯部たちが提出した提案書は、防衛省上層部にほぼ却下された。概算要求折衝が始動しようとする矢先、北朝鮮から日本本土にミサイルが発射されるが、弾着寸前で自爆する。
Episode2 傘屋の小僧
非理法権天[ひりほうけんてん]
「無理(非)は道理(理)に劣位し、道理は法式(法)に劣位し、法式は権威(権)に劣位し、権威は天道(天)に劣位する」
『貞丈家訓』伊勢貞丈
1
1ヵ月前――。
辞令発令日である7月1日の早朝、周防は財務省に登庁した。今日から主計局での仕事が始まる。
国の予算編成を司る主計局は、財務省の中でも中枢と言われる花形部署だ。財務省は、あらゆる政策分野に影響を与える予算と税という武器を有しているからだが、その中でも100兆円を超える予算の配分権を握る主計局こそが、省内の最強機関なのだ。
各省庁は1円でも多い予算獲得を目指すのだが、主計局の財布の紐は固く、各省庁の希望をすんなりとは通さない。それどころか、財政難の折、減らせるものは容赦なく切る。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。