ネパールで水質調査を行うヤマハ発動機の藤本顕允氏(中央) ©ADRA Japan

 

水サンプルの60%が大腸菌で汚染

 ネパールの山村部では、人が暮らす空間の下で家畜を飼う光景が見られる。所謂、高床式住居だ。家畜のなかでも豚は人糞を餌とするため、人間が近付くと腰のあたりに顔を寄せ、“食料”をせがんでくる。

 2015年4月にマグニチュード7.8の大地震が起こり、さらに2020年からの新型コロナウイルスの流行が追い打ちをかけて観光ビジネスは大打撃を受けたが、それでも首都カトマンズ周辺には都会的な暮らしがある。地方に行けば行くほど、世界で34番目、アジアで6番目というネパールの貧しさを、否が応でも感じる。こういった貧困地域で深刻な問題となるのが、水事情だ。

 かつて、カブレ・パランチョーク郡で簡易保健所の設立に携わったNGO団体ADRA(Adventist Development and Relief Agency)の日本人スタッフは、ドラム缶に雨水を貯め、飲料水としていた住民の姿を目の当たりにしている。また、簡易保健所のドアを開ける人に下痢の症状が多いこと、さらには当地の住民が一様に痩せている点に着目した。

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