機密文書の流出発覚後、ペンタゴンでウクライナのデニス・シュミハリ首相(左から2人目)を迎えたロイド・オースティン米国防長官(右から2人目) 4月12日撮影 ©EPA=時事

 ロシア・ウクライナ戦争の分析を含む米政府の機密文書が、21歳の空軍州兵によってネット上に流出した事件は、米側のオウンゴールとしてロシアでも大きく報道された。

 ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は「信憑性に疑問があるが、慎重に調査する」と表明。セルゲイ・リャブコフ外務次官は「本物かどうかは不明だが、米国がウクライナ戦争の当事者であり、ロシアにハイブリッド戦争を仕掛けていることを示した」と述べた。国営テレビの討論番組でも、侃々諤々の議論が展開されている。

 ロシアにとっては、ウクライナ軍や北大西洋条約機構(NATO)の動向を探る上でプラス面もあるが、ロシアの内情を暴かれた点でマイナス面も少なくない。

 流出した100本以上の機密文書から、ロシア絡みの興味深いインテリジェンスとその波紋を探った。

クレムリンの暗闘を察知

 米紙「ニューヨーク・タイムズ」(電子版、4月13日)によれば、漏洩された米情報機関の機密文書の中に、ロシアの情報機関と軍の間で死傷者数をめぐって対立があったことを示す内容があった。

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