会長兼社長兼最高経営責任者として株主の不信にどう答えるか[プロ野球巨人軍を応援する財界人の集い「燦燦会(さんさんかい)」総会で挨拶する同会会長の御手洗氏=2019年3月25日](C)時事

 バブル崩壊後の「失われた30年」の間、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジャック・ウェルチ(1935〜2020年)に匹敵する「スター経営者」の称号を得た日本人として、まずリストアップされるのはキヤノンの御手洗冨士夫(87)かもしれない。

   御手洗は1989年の専務就任まで米国駐在が23年に及んだ。ウェルチの知己を得て親しい関係にあることを匂わせながら「選択と集中」に代表される“ウェルチ流”を自社に導入。「おおらかな研究開発型」だったキヤノンの社風を「収益至上主義」へ一変させた。

   株主たちは喜んだが、社内は風通しが悪くなり、御手洗のワンマン経営がやがて30年になろうかという昨今では閉塞感に苛まれている。ウェルチと御手洗。コンプレックスに満ちた青年期や経営者として成功した後の毀誉褒貶の激しさなど、この2人には共通点が多い。

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