トヨトミ製の調理用コンロを頭に載せて運ぶネパールの女性たち ©ADRA

 

出産直後の労働で「子宮脱」に

 2014年2月20日、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが、子宮脱に苦しむネパール人に関する声明を出した。同団体は国連とネパール政府のデータに基づき、ネパールにはおよそ1360万人の女性がおり、そのうち最大で10%が子宮脱となっていると訴えた。

 加えて、ネパールには根強い差別があること、多くの女性が出産直後から野良作業をしなければならないこと、この問題に対してネパール政府が真剣な対応をしていないことを指摘した。

 子宮脱とは、文字通り子宮が性器から体外にこぼれ落ちてしまう事を指す。産婦人科医で、広尾レディース院長、及び茨城県立医療大学客員教授の宗田聡氏に話を聞いた。

「子宮脱とは、経膣(けいちつ)分娩した女性の3〜4人に1人がなるのではとも言われています。最近は子宮脱だけでなく、膀胱脱や直腸脱も合わせて『骨盤臓器脱』と呼びます。内臓を支えている骨盤底筋群の支持力が下がってくると下に降りてくるのです。

 立ち仕事や力仕事などは骨盤底に強い腹圧がかかってしまうため、骨盤臓器脱のリスクが高くなります。産後、どんな方も本来の体調に戻るのに、数カ月はかかるものです。出産直後から畑仕事で、強い腹圧を毎日のようにかけていたら、当然、子宮脱になりやすくなります。実際の話、トイレも昔の和式形式だと同じように力がかかるのでよくありません」

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